医療被ばくについて

Q&A

 

放射線被ばく線量についてのQ&A

(例1)〜(例5) を参考に、ご自身が受けられた検査(被曝線量へリンク)を元に推定される被ばく線量を算出してください。ただし、当院における放射線検査の被ばく線量値は標準的な体型の日本人に対して当院で検査を行った場合の数値となります。体格・年齢・性別等により若干数値が異なりますのでご了承ください。

 

(例1)40歳、男性。1ヶ月間に胸部2方向×10回 の撮影を行った。何度も放射線を受けて大丈夫でしょうか?

(例2 30歳、男性、腹痛。他院からの紹介で来たが、そのときにも腹部のX線検査を行っている。今回も同じ様な検査だが大丈夫でしょうか?
(例3 25歳、女性。腹部立位臥位×2、腰椎4方向×1、腹部CT(肝〜骨盤)×1 を行った。将来子供が出来なくなったりしませんか?
(例4 25歳,女性。放射線検査を受けた後,妊娠していることが判明。検査を受けたのは妊娠6週目であった。
受けた検査・・腹部単純×2 腹部CT(造影剤を利用した撮影と利用しない撮影)  骨盤血管造影
(例5 IVR、頭部血管造影とコイリングを行う予定です、推定される影響は有りますか?

 

放射線被ばく線量についてのQ&A

( A )  「2メートルライン」って何?
( B )  病室X線撮影(ポータブルX線撮影)での被ばく線量はどのくらい?
( C )  病室X撮影(ポータブルX撮影)の被ばくで体に影響はあるの?
( D )  病室X撮影(ポータブルX撮影)の時,家族(お見舞い)はどこにいればよいの?
( E )  隣のベッドで撮影していたみたいだけど私は大丈夫?
( F )  隣のベッドで撮影していたみたいだけど私は大丈夫?妊娠しているのですけど。

 

安心してX線検査を受けるために

当院では画像検査センター受付にて『安心してエックス線検査を受けるために』といった放射線に関する情報を掲載したパンフレットを配布しています。検査を受けられる際などご自由にお持ち帰りいただき、放射線に関する理解を深めていただけたらと思います。

被ばくパンフレット(PDFファイル)

<<DownLoad>>

上記パンフレットをPDF形式でダウンロードが出来ます。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

放射線被ばく線量についてのQ&A

 

(例1)40歳、男性。1ヶ月間に胸部2方向×10回 の撮影を行った。何度も放射線を受けて大丈夫でしょうか?

・当院では実施している放射線検査の被ばく線量を測定しています。HP上のリンクに被ばく線量がありますので参考にしてください。今回の患者さんの例を被ばく線量より数値を抜粋して表1に示します。

 

表1.  例1における推定被ばく線量 (単位:mGy)

 

皮膚面

水晶体

生殖腺

胸部単純X線 正面(mGy)

0.15

0.07

0

0

胸部単純X線 側面(mGy)

0.56

0.25

0.005

0

胸部2方向の撮影合計(mGy)

0.71

0.32

0.005

0

胸部2方向×10回(mGy)

7.1

3.2

0.005

0

 

皮膚障害に関して表2を元に、今回の皮膚面に被ばく線量は7.1mGy となりますので、皮膚に関して健康影響はありません。

 

表2 皮膚のしきい値 (単位:mGy)

皮膚障害

しきい線量

障害の出現時間

初期一時的紅斑

2000

2〜3時間

一時的脱毛

3000

3週間

主紅斑

6000

10日

永久脱毛

7000

3週間

乾性落屑

10000

4週間

皮膚萎縮

11000

14週以降

毛細血管拡張

12000

52週以降

湿性落屑

15000

4週間

晩発性紅斑

15000

6〜10週間

皮膚壊死

18000

10週以降

二次性潰瘍

20000

6週以降

急性潰瘍

75000

4週間

 

“循環器被ばく低減技術セミナー“より引用

 

 

水晶体障害に関して表3を元に、今回の水晶体の被ばく線量は0.1mGy となりますので、水晶体に関して健康影響はありません。
生殖腺に関して表3を元に、今回の男性生殖器の被ばく線量は0.00mGy となりますので、不妊等に関して健康影響はありません。

 

表3 放射線影響に関する線量(単位:mGy)

臓器・組織

影響

急性被曝

精巣

一時的不妊

150

 

永久不妊

3500〜6000

卵巣

一時的不妊

650〜1500

 

永久不妊

2500〜6000

水晶体

白内障     低LET

5000 (2000〜10000)

 

          高LET

600〜5000

 

水晶体混濁

500〜2000

造血臓器

 

500

胎児

奇形

100

 

 

(例2) 30歳、男性、腹痛。他院からの紹介で来たが、そのときにも腹部のX線検査を行っている。今回も同じ様な検査だが大丈夫でしょうか?

今回の患者さんの例を被ばく線量より数値を抜粋して表4 に示します。

 

表4  例2における推定被ばく線量 (単位:mGy)

 

皮膚面

肝臓

水晶体

生殖腺

腹部X線撮影 立位

2.91

1.08

0.01

0.02

腹部X線撮影 臥位

1.65

0.45

0.01

0.02

腹部立位と臥位の撮影合計

4.56

1.53

0.02

0.04

腹部立位と臥位を2回

9.12

3.06

0.04

0.08

 

 

胸部には肺や縦隔といった臓器が主となります。肺は風船のようなもので撮影を行う上で少ないX線量で済みますが、腹部では肝臓、膵臓、腎臓、・・・と臓器が重なっていて胸部撮影と比較するとX線をより多く利用しますので、被ばく線量としても胸部撮影よりも多くなります。

皮膚障害に関して表2を元に、今回の皮膚面に被ばく線量は9.12mGy となりますので、皮膚に関して健康影響はありません。

水晶体障害に関して表3を元に、今回の水晶体の被ばく線量は0.04mGy となりますので、水晶体に関して健康影響はありません。

生殖腺に関して表3を元に、今回の男性生殖器の被ばく線量は0.08mGy となりますので、不妊等に関して健康影響はありません。

 

3)25歳、女性。腹部立位臥位×2、腰椎4方向×1、腹部CT(肝〜骨盤)×1 を行った。将来子供が出来なくなったりしませんか?

今回の患者さんの例を被ばく線量より数値を抜粋して表5 に示します。

 

表5  例3における推計被ばkじゅ線量 (単位:mGy)

 

女性生殖腺

腹部X線撮影 立位

0.244

腹部X線撮影 臥位

0.42

腹部X線撮影 立位

0.244

腹部X線撮影 臥位

0.42

腰椎正面

1.07

腰椎側面

0.5

腰椎斜位

0.74

腰椎斜位

0.74

腹部CT(肝臓〜骨盤)

25.64

撮影の合計

30.018

 

生殖腺に関して表3を元に、今回の女性生殖腺の被ばく線量は30.018mGy となりますので、永久不妊や一時不妊といった健康影響はありません。また、万が一妊娠していた場合も、胎児への影響は胎齢にもよってそのしきい線量はことなりますが放射線影響へのリンク参照)、もっとも放射線感受性の高い着床前期のしきい線量が100mGy であり、今回の検査被ばくによる不妊や流産等の影響はありません。

 

 

(例4)25歳,女性。放射線検査を受けた後,妊娠していることが判明。検査を受けたのは妊娠6週目であった。
受けた検査・・腹部単純×2 腹部CT(造影剤を利用した撮影と利用しない撮影)と骨盤血管造影

今回の患者さんの例を被ばく線量より数値を抜粋して表6 に示します。

 

表6  例4における推定被ばく線量

 

女性生殖腺

腹部X線撮影 臥位

0.42

腹部X線撮影 臥位

0.42

腹部CT(肝臓〜骨盤) 造影なし

25.64

腹部CT(肝臓〜骨盤) 造影あり

25.64

骨盤部 血管造影

62

撮影の合計

114.12

 

 

この例では骨盤部の血管造影においてどれだけの被ばくを受けたかによって大きく結果が異なります。
今回は62mGy という当院における骨盤部血管造影のルーチン検査における被ばく線量の推定値となります。交通事故などで骨盤骨折を伴い血管造影と共に血管塞栓術を行ったりすれば検査時間は伸び、同時に被ばく線量もより多くなる可能性があります。
今回の算出においては当院における骨盤部の血管造影のルーチン検査を行ったものとして数値を抜粋します。

今回の推定される被曝線量は114.12 mGy となります。放射線影響へのリンク参照 し、胎齢別の被ばく影響の表を参照すると 妊娠6週目 の胎児の被曝しきい線量は150mGy であり、胎児への影響はないといえます。 しかし、今回のケースが着床前期と言われる受精8日以内の患者さんであった場合は胎児のしきい線量は100mGy といわれていて、胚死亡(流産)の可能性があります。
このように妊娠している女性の生殖腺への放射線被ばくは、胎齢によりその影響が大きく異なりますので、検査を受けたのが妊娠してからどれだけ経過していたのかをしっかりと把握することが重要になります。

 

(例5IVR、頭部血管造影とコイリングを行う予定です、推定される影響は有りますか?

IVRの難易度により検査時間が大きく異なり、その被ばく線量にも幅があります。
推定される頭部皮膚面の被ばく線量は、1000 mGy 〜 5000 mGy です。
表2を元に2000mGy を超えた被ばく線量から一時的紅斑や一時的脱毛といった影響が現れてくることが推測されます。また、長期的には確率的影響の出現も考慮に入れておく必要もあります。

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

放射線被ばく線量についてのQ&A

 

ポータブル撮影

病室X線撮影は撮影する患者さん以外にも同室の患者さんやお見舞いの方々がいらっしゃいますので、ここでは患者さんとその周囲の方への影響についてQ&A形式でお答えします。

 

( A )  「2メートルライン」って何?
・病室X線撮影(ポータブル撮影)での介助者および患者さん家族などの被ばく線量が無視できるくらい小さくなる安全ラインを当院では「2メートルライン」と呼んでいます。同室患者さん・患者さん家族・看護師さんなどは,撮影患者さんから2メートル離れた位置での被ばく線量は無視できるほど少ないものであり問題なく、退室する必要もありません。

 

( B )  病室X線撮影(ポータブルX線撮影)での被ばく線量はどのくらい?
・撮影患者さん→主に直接線被曝です.約2.9mSvです。
・介助者(患者さん家族・同室患者さん・看護師さん・技師など)
→介助者の被ばくは主に散乱線です。散乱線の被ばく線量は直接線の1/1000程度です。また、距離が離れるほど少なくなっていきます。2メートル離れた位置では0.001mSvです。

・下の表はポータブル撮影による場所(空間)の線量を示しています。は撮影中心部分(直接線)、は撮影中心から1m離れた位置、は2m離れた位置、は3m離れた位置の線量(散乱線)です。放射線は距離が離れるに従って少なくなり、約2m離れた位置では0.001mSvと自然放射線よりもずっと少ない量です。

 

 

 

( C )  病室X撮影(ポータブルX撮影)の被曝で体に影響はあるの?
・撮影患者さん→ポータブル撮影による被ばくは体に影響のでる被ばく量ではありません。被ばくによる影響より、検査によって得られる情報の方が重要です。
・介助者(患者さん家族・同室患者さん・看護師さん・技師など)
→ポータブル撮影で介助者の被ばくは無視できるほど少ないものです。自然放射線よりも少ない線量です。体への影響はありません。

 

グラフ:ポータブル撮影による影響 

 

 

グラフ:世界の被曝

 

( D )  病室X撮影(ポータブルX撮影)の時,家族(お見舞い)はどこにいればよいの?
・撮影患者さんから約2メートル離れた位置にいれば、病室からでなくても大丈夫です。隣のベッドで撮影している場合も同様です。また、看護師および放射線技師は約2メートル離れた位置で撮影を行いますので、その後方にいていただければ問題ありません。

 

( E )  隣のベッドで撮影していたみたいだけど私は大丈夫?
・同室患者さんの撮影時、隣のベッドの患者さんおよびお見舞いのご家族の被ばくは問題ありません。上記の通り、同室患者さんの被ばくは散乱線ですので、約2メートル離れた位置での撮影となります。よって、撮影による被ばくは無視できるほど少ないため、問題はありません。

 

( F )  隣のベッドで撮影していたみたいだけど私は大丈夫?妊娠しているのですけど。
・上記同様、問題ありません。また、胎児への影響も問題ありません。上記の通り約2メートルの離れた位置での被ばく線量は無視できる程度であり、自然放射線よりもずっと少ない線量です。また、胎児に影響の現れる被ばく線量は100〜120mGyです(放射線影響へのリンク参照)。よって、隣のベッドでポータブル撮影を行っていても胎児への影響は問題ありません。

 

 


東海大学画像検査センターtopへ