医療被曝について

放射線影響

放射線による健康影響は大きく分けて確定的影響と確率的影響の2種類あります。

 

確定的影響
ある一定以上(しきい線量)の放射線に当たった場合、下表に示す影響が現れてきます。
もし受けた放射線量がしきい線量以下であれば、その障害の心配をする必要はありません。
X線検査、CT検査などは頻繁に行われる検査ですが、

診断領域の検査において下表のような影響が現れることはありません。

当院の検査別被曝線量の一覧を1度参照するとその数値の違いが一目瞭然です。

臓器・組織

影響

しきい線量 (mGy)

精巣

一時的不妊

150

 

永久不妊

3500 〜 6000

卵巣

一時的不妊

650 〜 1500

 

永久不妊

2500 〜 6000

水晶体

白内障

5000

 

水晶体混濁

500 〜 2000

造血臓器(骨髄)

機能低下

500

胎児

奇形・発育異常

100

皮膚

脱毛

3000

 

紅斑

5000

 

潰瘍

5000 〜 10000

胸部X線撮影時 骨盤部の被曝線量 0.001mGy
腹部X線撮影時 骨盤部の被曝線量 0.24mGy 

 

しきい線量がもっとも低いのは胎児への影響であり妊娠している・あるいは妊娠している可能性のある方への被ばく線量は注意を払わなければなりません。

正確には胎児影響は胎齢により異なります。下表にその影響としきい線量を示しました。

万が一、大量の被ばくを受けるような事態があった場合は、まず被ばくをしたのが胎齢でどのあたりだったのかを把握することが大切です。腹痛などでX線撮影を行うときは、女性自身が生理との関係を常々念頭におくことが大切でしょう。不用意なX線撮影はだれもが避けるべきですし、過剰な放射線恐怖症による人工中絶なども慎むべきだと思います。

 

胎生期の区分

期間

発生する影響

しきい線量 (mGy)

着床前期

受精8日まで

胚死亡 (流産)

100

器官形成期

受精9日〜 受精8週

奇形

150

胎児期

受精8週〜受精25週

精神発達遅延

200 〜 400

 

受精8週〜受精40週

発育遅延

500 〜 1000

全期間

 

発がんと遺伝的影響

--

 

up lowup

8 〜 15週 →16 〜 27週→ 28 〜 39週

確定的影響が病院内でおこるケースとして、血管内治療などX線透視下で長時間おこなった場合に発生する可能性があります。

 

頭蓋内血管の動脈瘤に対して脳動脈瘤コイリング術を長時間に渡り行い3000mGy以上の放射線を受けた場合は、X線があたっていた部位に脱毛が起こります。ただし、皮膚の炎症がおさまってくると、もともと持っている人間の細胞の増殖によって、正常な皮膚が復活し、毛根も発毛の準備が整いある期間経過すると毛が生えてきます。

 

up

 

心臓カテーテル・ステント治療においても長時間X線透視下で治療を行った場合に紅斑や潰瘍が現れる場合があります。潰瘍が起こるほどの被ばくはなかなかありませんが、放射線被曝によって下写真のような潰瘍が起こりうるのだという認識がとても大切です。

 

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(心臓カテーテル・ステント治療において背中の肩甲骨部に潰瘍ができた例)

 

 

確率的影響
確定的影響には影響が現れるしきい線量がありましたが、こうした明確なしきい線量がなく比較的少ない放射線を受けたところから影響が出てきて、被曝線量が多くなるほどその発生確率が増えていくものを確率的影響といい、がんや白血病・遺伝的影響(人の遺伝情報などに対する影響)がこれにあたります。

放射線により遺伝物質であるDNAが損傷を受けることがあります。しかし、たいていの傷は修復されます。ところが修復が失敗し突然変異を起こすことがあり、突然変異がどの遺伝子に生じたかによっては、将来がんになる可能性があります。また、突然変異が生殖細胞に起こった場合は、遺伝的影響を引き起こす可能性があります。

 

 


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