放射線治療

副作用について

放射線治療の副作用について説明しています。(患者さんによって照射の方法は変わります。そのため下記の項目が全て当てはまるわけではありません)


頭部の放射線治療に対する副作用

あてる範囲にもよりますが、広い範囲では脳がむくむことにより頭痛、吐き気が出ることがあります。むくみの対策としてステロイドやむくみを減らす点滴を使用する場合があります。 頭髪のある部分に照射する場合には治療開始後2週間位で脱毛が始まります。脱毛は放射線の当たった場所にのみ起こります。 老人で、脳全体に治療を行う場合に数ヶ月以降痴呆症状が現れる場合があります。 眼球が含まれる場合には白内障、網膜症などがおこり、視力が低下する場合があります。


頭頸部の放射線治療に対する副作用

口、喉に対しての治療では2週位で痛みが出てきます。これは放射線により炎症が起こるためです。症状は放射線治療が終了して1〜2週で改善します。食事が摂りづらくなりますが、刺激の強い物、固いもの、熱いものは避けて下さい。症状が強い場合には対症的な薬を処方します。 喉の場合、声がれが出てきます。これは声帯にむくみが起こるためで、終了後徐々に改善します。 頭頸部の場合、皮膚近くのリンパ腺にも放射線をかけますが、そのために皮膚炎が起こります。2週間程度してから皮膚が赤くなったり、カサカサしてきます。皮膚炎の程度は個人差が大きいのでどの程度になるかは治療してみないと分かりません。症状が強い場合にはステロイドのスプレーを処方します。 唾液腺が照射範囲に含まれる場合(口、上咽頭など)では治療開始後1週間くらいで口腔内の乾燥が出てきます。治療終了後徐々に改善しますが、個人差があり乾燥感が続く事があります。唾液の分泌が少なくなると虫歯になりやすいのでうがいを頻回に行うなど口腔内の清潔保持に努めましょう。乾燥感があると飲水量が増えてしまいますが、氷をなめる事で水分量は少なく、効果も長続きします。 味覚が低下したり、味が変に感じられる場合があります。照射終了後徐々に回復します。 眼球が照射範囲に含まれる場合、数年後白内障が出現すします。眼球近くに病変がある場合やむを得ず範囲に含む場合がありますが、その場合事前に説明をします。 頸椎が含まれる場合(上咽頭など)では数年後手足の麻痺が出現する場合があります。頸椎に対しては極力照射しないように工夫をしていますが、病変の部位によってはかけざるを得ない場合があります。その際には事前に説明をします。はずせる場合には途中で照射方法を変更します。 下顎骨が照射される場合には数年後下顎骨の壊死が起こる場合があり、手術が必要になる場合があります。 甲状腺に照射されると甲状腺機能低下症があらわれる場合があります。多くは無症状ですが、疲れやすいなどの症状が出る場合もあります。


胸部の放射線治療に対する副作用

肺に照射をすると、数ヶ月位で咳、熱発、倦怠感、呼吸困難感が出現する場合があります。これは放射線肺臓炎によるもので、ステロイドの内服で改善します。肺臓炎になっても症状のでない場合が多いです。数ヶ月以降には肺線維症が出現します。これは照射範囲に含まれた肺が線維化を起こして固くなり、呼吸機能が落ちてしまう状態です。もとの肺機能に応じて範囲を決めますので、肺線維症によって在宅酸素療法が必要になることは殆どありません。 気管に照射を行うと空咳が出るようになります。咳が強くて睡眠が障害されることはありませんが、強い場合には咳止めを処方します。治療終了後もしばらく続くことがあります。 食道が照射範囲に含まれると、放射線食道炎が現れます。照射開始後2週間程度で症状が出始めます。はじめは多少喉がいがらっぽい感じで始まり、徐々に飲み込むと痛みが出るようになります。全く食事が摂れないくらいの強い症状は殆ど出ませんが、併用する薬の種類によっては強く出る場合があります。症状が現れた場合には食道炎に対する薬を処方しますので食前に内服してください。 胸椎が照射される場合には、数年後下肢の麻痺が出現することがあります。通常は途中で斜め方向からの照射に変更して照射野からはずします。ただし病変の状態によってははずせないこともあります。 食道の繊維化がおこり、嚥下困難感が現れることがあります。 心臓に照射した場合心膜炎がおこり、心嚢液がたまる場合があります。心嚢液の量が多く心不全になるときには排液の処置が必要になります。


乳房の放射線治療に対する副作用

乳房に対する治療では皮膚表面まで十分に照射しますので、皮膚炎の症状が現れます。治療開始後2週間程度で皮膚が赤くなったり、カサカサして痒みが出てきます。さらに進むとヒリヒリ痛みが出てきます。症状が現れた場合、特に治療をしなくても改善しますが、場合によってはステロイドのスプレーあるいは軟膏を処方します。治療終了近くになるとやや皮膚が黒ずんできます。(ちょうど日焼けの後のような状態です)また皮膚が硬くなることもあります。 乳房の照射の場合でも一部肺が含まれる場合がありますので、その場合には上述の放射線肺臓炎、肺線維症が現れる場合があります。 腋窩(脇の下)も照射する場合には手術後であれば手術の影響もありますが、腕がむくむことがあります。むくみが強い場合には利尿剤などを使用する場合がありますが、改善しないこともあります。 胸骨の脇や鎖骨の上を照射する場合には喉の痛みが出る場合があります。(頭頸部の治療の項目を見てください)


腹部の放射線治療に対する副作用

上腹部(みぞおち辺り)の場合では治療開始後嘔気、嘔吐が現れることがあります。通常は1週間程度で症状が落ち着きますが、続く場合には吐き気止めを処方します。食欲低下や下痢が出現する場合もあります。症状に応じて薬を処方します。 下腹部では食欲低下、腹痛、下痢が出現する場合があります。腹痛は一般的には我慢できないほどの強い痛みになることは殆どありません。下痢が続く場合には下痢止めを処方しますが、下剤を内服している場合には服用を中止すると改善することがあります。 腸管が狭くなったり腸閉塞になったり、潰瘍が出来て下血が起こることがあります。 膀胱に照射をすると線維化がおこり固くなり、容量が減ることにより頻尿になることがあります。 リンパや血液の流れが悪くなり、下肢がむくむ場合もあります。 肝臓や腎臓に照射をすると機能が低下することがあります。 卵巣、睾丸に照射をすると不妊になることがあります。 背骨や骨盤などに広く治療する場合 胸部、腹部の項目の他に貧血、白血球減少、血小板減少が現れる場合があります。骨髄では血液が作られていますが、その機能が低下することによりおこります。放射線治療だけで点滴の治療をしていない場合に治療を中止する必要があるほど減少することはまずありません

 

 

 


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